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現役保育士が伝授!1歳〜2歳の子どもが「1人食べ」をする方法とは?
あなたはいつも子どもとの食事の時間をどのように過ごしていますか?
「なかなか自分で食べなくて困ってる」「好き嫌いが激しい」「椅子に座りたがらない」「1回の食事の時間が長すぎる」など悩みは家庭それぞれです。
今回は子育てをするにあたって、ほぼどの家庭も直面するであろう『子どもの食事問題』について保育士としての経験から解説していきたいと思います。
1歳の子どもが手づかみ食べをしない…いつから「1人食べ」を始めるの?
いわゆる手づかみ食べやスプーンやフォークを持って食べようとする『1人食べ』。
これっていつごろから始まるの?と思う人も多いのではないでしょうか。
1歳を過ぎ完了食を食べられるようになったら(大人と同じものでサイズは小さく、味は薄めで良い)、徐々にスプーンやフォークそれにコップやお椀を持って飲むことができるようになっていきます。
ただしこちらも個人差や月齢差があるので、「1歳になったから持たせないと!」と焦らないでくださいね。
そもそもスプーンを持ったからといって、ほとんどの子どもはすぐに使えません。
まずグーで握っておもちゃのように扱うと思います。
食器を叩いてみたり、振り回したり…
持つことすら嫌がる子どもだっています。
「興味が出てきたら持たせよう」ぐらいの気持ちで十分です。
親が目の前で持っている姿を見て、同じことをしてみたいという興味が出てきたりします。
食事中、手の届く場所に置いておいてもいいかもしれませんね。
乳児期の子どもが「1人食べ」をしない理由
家ではわが子しか分からないので、保育園で他の子どもの話を聞いたときに「他の子は1人で食べてるのに、何でうちの子はできないの?!」と思って焦る人はたくさんいると思います。
私自身、保護者の方からよく食事に関して相談を受けます。
ただ実際に保育士をしていてさまざまな子どもを見る中で感じるのは、本当に『個人差』があるということです。
特に1歳児なんてまだまだ赤ちゃんです。
産まれてまだ1年経ってこれからどんどん成長していくときですよね。
1歳児だって右も左も分からないのが当たり前です。
『1人食べ』をしない理由として考えられるのはいくつかあります。
・好き嫌いがある(偏食)
・そもそも食に興味がない
・そんなことより遊びたい
・待っていれば食べさせてくれる
・噛みきれない大きさや固さで食べられない
など…思い当たる部分はありますか?
例えばよくあるのはお肉を小さく切ったつもりでも、子どもはそれを噛んで飲み込むまでに時間がかかる場合もあります。
魚も同じです。意外と口に入るとパサパサしていつまでも噛み続けて結局飲み込めない…なんてこともよくあるんです。
あとはじっと椅子に座って食べるのが嫌で、そんなことよりも遊びたい!という気持ちが勝って走り回る子どもだっています。
お母さんに話を聞くと「家では座らないからテーブルに近づいた瞬間に口に入れて、本人は走りながら食べてるんです…」という話をされたときはさすがに「危険なので絶対やめてください!」と注意したほどです。
窒息の恐れがあるのでとても危険な行為です。
いくら座らないからといっても『走り食べ』という新ジャンルの開拓はやめましょうね。
実際に保育現場で働いていると、頑なに口を閉ざし絶対に口を開けない子どもや、特定のものしか絶対に口にしない子ども、食べさせてくれるのを待つ子どもなど…さまざまな子どもがいます。
「うちの子だけ…」なんてことは決してないので、安心してくださいね。
「1人食べ」をしない子に対して何か解決策はあるの?
では一体どうすれば『1人食べ』をするのか。
何よりも根気よく子どもと向き合うことが大切ではないでしょうか。
・親が子どもと同じものを食べている場面を見せる。
・「これ美味しいよ」などと声をかけてみる。
・料理をするときに子どもにひとつ好きなメニューを選んでもらう
・お弁当にしてみる
このように子どもに声をかけ、親が食べる場面を見せ「美味しいんだ」と思わせるのも大切です。
また、ご飯を作るときに子どもに何かひとつでも食材やメニューを決めてもらうと、本人も食べようと意欲が湧くかもしれません。
もう少し年齢が上がれば簡単なお手伝いをすることで、食育や食べる意欲にもつながっていきます。
あとは遠足気分のようにたまにお弁当箱に詰めるだけでも、子どもはワクワク感でいっぱいになりますよ。
それに食事は1人でしても楽しくないですよね。
なるべく同じ食材・同じ形状のものを一緒に食べるよう意識するだけで、子供の意識も変わってくるかもしれません。
焦りや苛立ちは子どもにしっかり伝わってしまいます。
それでさらに食べないとなれば、親子で辛い思いをするだけで悪循環ですよね。
「ご飯を食べるのって楽しいことなんだ」と思えるように、気持ちに余裕を持ちながら焦らず進めていきましょう。
「1人食べ」の第一歩、「手づかみ食べ」を促す方法
『1人食べ』の前段階はまず『手づかみ食べ』ですよね。
ここでは手づかみ食べを促す方法をいくつかお伝えしていきたいと思います!
手づかみ食べができるようになることで、その後のスプーンやフォーク、お箸を持つ意欲へとつながる大事なステップです。
また、自分で掴んで食べることで一口の量が徐々に分かるようになります。
子どもの手で握りやすいサイズのもの、また歯や歯ぐきでつぶせるもの、はじめは口の中で溶けやすい柔らかいものから渡しましょう。
子どもによっては手に食べ物がつきベタベタするのを嫌う子もいます。
その場合はベタつかないものを用意してみましょうね。
慣れてきたら子どもの手より大きめのサイズにしていき、自分で噛み切るということを覚えられるように促していきます。
食べ物を落としたり投げたりして散らかされ後片付けが負担…という方は床に新聞やビニールシートをあらかじめ敷いておき、一口分だけお皿に載せて食べたら次をお皿に置くなど工夫してもいいでしょう。口に一気に詰め込む心配もなくなりますよ。
「でもそもそも手で持とうとしないんだけど…」
この悩みもあるあるだと思います。
保育園でも絶対に手で持とうとしない子どもはいます。
それでも食べないといけません。
私はとにかく声かけをします。
「ほら、美味しそう!」「お肉さんが食べて〜って言ってるよ?」「先生も食べたいな〜」などとにかく明るく元気に、子どもの気持ちを楽しい方向に持っていけるようにしています。
ときには食べる真似をして(子どもの給食なので実際には食べません)、「それは僕、私の!」と思わせたり…
どうしても手で持とうとしない場合には保育士が口元へ持っていきます。
そこから少量でもいいので手で持てるよう練習を重ねていきます。
はじめは嫌がる子どももいるでしょう。
それでも根気よく練習を重ね、私たち大人が一緒に手を添えながら促すことで、徐々にできるようになります。
大切なのは少しでもできたら大げさなぐらい褒めましょう。
褒められることで子どもの自信も得られ、次への意欲へとつながっていきます。
スプーンやフォークで1人食べを促す方法
『手づかみ食べ』ができるようになったら次はスプーンやフォークで『1人食べ』へと移行していきます。
手づかみ食べが嫌いではじめからスプーンやフォークを持ちたがる子どももいるので、そこは子どもに合わせてくださいね。
はじめはグーで握るだけの子がほとんどだと思います。
まずは大人が子どもの持つスプーンやフォークに手を添えて、上手にすくえるまたは刺せるように促していきましょう。
その際には食器が動いてしまわないよう大人が支え、できるのであれば徐々に反対の手も食器へ添えられるように一緒にやっていきましょう。
私は1人でなかなか食べられない子どもに対して、一口だけ保育士が口へと運び、次からは自分で食べるようはじめに『お約束』をします。
「これは先生が〇〇ちゃん・くんのお口にあげるね。でも次は自分でできるかなぁ?先生見てよーっと」
1歳を過ぎてすぐぐらいまでだとこの方法はなかなか通用しないですが、言葉が理解できある程度の会話と信頼関係を築いているのであれば『お約束』は有効な方法です。
もちろん実際にできたら「すごい!!できたね!かっこいい!もう1回見たいな〜!」と褒めまくり作戦を行っています。
はじめからスプーンやフォークをきちんと持てないのが当たり前です。
1歳児や2歳児は大人の真似をしてぐんぐん成長する時期です。
吸収力がとても早い時期なので、あなた自身が子どもの鏡となって実践してみることを意識してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は保育園や家庭で必ずと言っていいほど起こる『子どもの食事問題』に焦点を当てて解説させていただきました。
1歳を過ぎても手づかみ食べをせず、手づかみ食べをクリアしても1人食べをしないのには必ず理由があります。
『遊びたい』『食に興味がない』『偏食』など、何かしらの理由があるものなので、だからといって「なんで自分で食べてくれないの!」と焦らないでくださいね。
子どもにも気分や意思があります。
成長曲線から大きくはみ出ていない限りあまり心配する必要もありません。
他の子どもと比べる必要もありません。
自分の子どものことは親であるあなたにしか分からないものです。
保育園に預けているなら、担任の保育士に相談してみるのも方法のひとつですよ。
私たち保育士は日々さまざまな子どもを見ているので、きっとあなたの力になれるはずです。
そして何よりも大事なのは『子どもの食べる楽しみ』を促すことではないでしょうか。
食べることが苦痛になってしまっては意味がありません。
大人が子どもと一緒に食事を『楽しむ』ことで、自然と子どもも自分の力でやってみようと思えるようになっていくので、それまでは焦らず根気よく子どもと向き合う気持ちを大切にしてみてくださいね。