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現役保育士執筆!イヤイヤ期の子どもを上手に「叱る」方法とは?
子どもを育てる上で誰もが必ずぶつかる壁「イヤイヤ期」。
成長への現れですが、親からすると「何をやっても『イヤ!』と言っていうことを聞かない」「イヤイヤ言われすぎて、自分自身もストレスが溜まって嫌になる」と、子どもも親にとっても非常につらい時期でもあるといえますよね。
そもそも「イヤイヤ期」とは?
「イヤイヤ期」とは1〜2歳ごろに現れる、子どもの成長過程においてとても大事なものです。
子どもは1歳ごろから徐々に自我が芽生え始め、何でも「自分でやりたい!」と意思表示を示すタイミングです。
2歳ごろからは言葉もたくさん出てくるので、さらに主張は強くなります。
ただ、主張はするもののまだまだ上手く言葉で伝えられない子どもにとって「イヤ!」と言うことで、一生懸命自分の気持ちを伝えているのです。
しかし実際に毎日子育てをしている親にとって、毎日毎日「あれもイヤ!これもイヤ!」と言われ続けられるとどうでしょう。
思わずイライラしてしまい、感情に任せてきつく言い返してしまいがちですよね。
親子とは言ってもお互いに人間です。感情が爆発してしまうのは当たり前です。
また、保育の現場ではそんな「イヤイヤ期」の子どもたちがたくさんいます。
月齢も違う、個々の成長速度も違う、そんな中で私たち保育士は保護者の大切な子どもと一緒に日々成長しています。
イヤイヤ期の子どもとの接し方を少しずつ学び、それを保護者にお伝えする立場でもあります。
次からの項目で「イヤイヤ期」を少しでも穏やかに対処できる方法をご紹介していきますね。
「イヤイヤ期」は親としてどう対処する?
では親として「イヤイヤ期」をどう対処すればお互いに納得できるのか考えてみましょう。
みなさん、イヤイヤ期に限らず子どもを叱るときに、感情に任せて言葉を投げかけていませんか?
感情に任せて子どもへ言葉を投げかけるのは「叱る」ではなく「怒る」です。
私が短大時代に先生から授業で言われた言葉でもあります。
この言葉は今でも覚えていて、保育士になってからもずっと保育現場でなるべく意識するようにしています。
例えば2歳児の子どもが何に対しても「イヤだ!」と言ったとしても、まずはその気持ちを受け止められるように意識してみてください。
「たったそれだけ?」と感じるかもしれませんが、何度も何度も同じことで「イヤイヤ」と言われると、実際には自分の感情が勝ってしまいがちです。
そこで子どもに「イヤ!イヤ!」と言われ、思わず怒りそうになる感情を一度自分の中で飲み込んで、子どもの「嫌な気持ち」を受け止めることができれば、親としても少し冷静になれるのではないでしょうか。
また、「イヤ!」と言い出した子どもを客観的に見るのも良いかもしれません。
客観的に見ることで「どうして嫌なんだろう。何が嫌だったのかな」と冷静に分析し、時には見守ることのできるあなたがいるはずです。
上手に「叱る」とは?
そもそも「叱る」とは何でしょうか。
「怒る」が自分の感情に任せて相手に言葉をぶつけることに対して、「叱る」とは相手の気持ちを汲み取り成長を促すことです。
「叱る」ことにより子どもの成長にもつながり、次からの行動への改善にもつながるのです。
また親として子どもに対して怒ってしまった後に、後悔する方も多いのではないでしょうか。
誰もはじめから上手に叱る方法は分からないのが当たり前です。
保育現場でも、先輩の保育士は「叱る」ように意識している人が多い印象です。
新卒など経験の浅い保育士の場合は、そもそもどうしていいのか分からずうろたえてしまうことも珍しくありません。
私たち保育士もそういった場面を何度も経験して、徐々に叱る方法を学んでいくのです。
「またやってしまった…」と思い悩まずに、できることから少しずつ実践していきましょう。
上手な叱り方の原理として、いくら親子でも価値観は人それぞれです。
それが2歳児であっても同じことが言えます。
私たち大人と違って、子どもはとても早いスピードで日々成長しています。
私たちも幼少期、親から「宿題しなさい!」と言われると一気にやる気をなくした記憶はありませんか?
「強制」されることで余計に反発したくなるのが人間です。
まずは子どもの気持ちを受け止め、言いたかったこと・やりたかったことを親が代弁してみましょう。
「◯◯したかったんだよね」と代わりに言葉として出すことにより、子ども自身も自分の気持ちを理解し安心できるようになります。
そして頭ごなしに怒るのではなく、諭しながら子どもに寄り添うことで、子どもの気持ちも徐々に落ち着きを取り戻すのではないでしょうか。
「叱り方」「伝え方」のテクニック
実際に2歳児の子どもへの「叱り方」や「伝え方」を保育士の立場からお伝えしていきますね。
テクニック① おもちゃの取り合いで喧嘩になった場合
友だちがいる中で、友だちの使っているおもちゃをいきなり何も言わずに奪ってしまった子どもに対しては、「あのおもちゃが欲しかったんだね。でも今使っているのはあの子だよ。後で貸してくれるか聞いてみようか」と、子どもの気持ちを受け止めながら、次にすべき行動へと促します。
もしくは、自分の持っているおもちゃと交換してくれるか聞いてみようと提案することもあります。
テクニック② おもらしをしてしまった場合
2歳児ではほとんどの場合トイレトレーニングをしています。
パンツで過ごしてる時間に遊びに夢中になり、おもらしをしてしまう場面も珍しくありません。
おもらしをしてしまった子どもは「怒られる!」と思い、言い出せなかったり固まってしまったりします。
こんなとき咄嗟に「何してるの!」など責めるようなことは絶対に言ってはいけません。
おもらしをしたことは本人が一番分かっているはず。
「出ちゃったんだね。大丈夫だよ。失敗してもいいんだよ」と失敗したことを肯定し、着替えを促し「次はトイレに行きたくなったら、おっきな声で言えるようにしてみようね」と次への意欲へとつなげています。
テクニック③ 食事をなかなか食べない場合
偏食・食わず嫌いなど、2歳児にはあるあるの食事問題。
保育現場では周りの環境もあり、頑張って食べる子どももいますが頑なに口を閉ざしたり、泣き叫ぶ子どももいます。
私がよく行う方法は、とにかく褒めちぎって本人の意欲を掻き立てています。
「えーーー!!このお野菜食べられるの??!すごい!みんなも見て!◯◯ちゃん、お野菜食べられるんだって!!みんなで応援しよっか!」と、時には周りの子どもも巻き込んで大げさなほど褒めちぎり作戦をします。
もちろん食べられたらしっかり褒めます。
テクニック④ 着替えをしてくれない場合
2歳児は徐々に自分で衣服の着脱を覚えようとします。
それでも着たくない服や、気分で「イヤ!」となることもしばしば…
着たくない服であれば、本人が着たい服を選んでもらいます。
選んだとしても着替えたがらない場合ももちろんあります。
そんなときには「このお洋服すごい可愛い(かっこいい)よね!お洋服もほら、着てほしいよ〜って言ってるけどどうする?」など、衣服の気持ちを代弁してみます。
子ども自身も「そうなの…?」と意識してくれるので、気持ちの切り替えを大切にしています。
⑤私が叱った後の対応で絶対に心がけていること
ここまでお伝えした上で最後に、私が日頃から叱った後に必ず行っている行動をお伝えします。
叱られた子どもは当たり前ですが、少なからずショックを受けています。
その子どもを叱りっぱなしでそのままにしないことです。
叱って話をした後には必ず「ハグ」をしています。
抱きしめて「先生はあなたのことが好きだからこうやってお話してるんだよ」と、決して嫌いで言っているわけではないことを伝えています。
そうすることで子どもとの信頼関係も強くなり安心できるはずです。
叱られっぱなしで放置されてしまうと子どもは保育士に対し恐怖心が芽生え、常に怒られるんじゃないかと怯えてしまう可能性があるのではないでしょうか。
私たちも上司や先輩に注意された後にフォローされると安心しますよね。
子どもも同じです。
意外と日常でも忘れがちなハグ。
たくさんハグをしてめいいっぱいコミュニケーションを取ってください。
イヤイヤ期の叱り方のまとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は保育士目線から子どもの「イヤイヤ期」を上手に乗り切る方法をお伝えさせていただきました。
大切なのは「子どもの気持ちを受け止めて寄り添うこと」です。
そして頭ごなしに怒るのではなく、自分の中で一度飲み込んでから声をかける、または見守ることです。
「イヤイヤ期」は子どもの成長にとても重要な過程です。
ただイライラして終えるより、子どもの気持ちを受け止めながら理解を示すことで信頼関係が深く刻まれる時期でもあります。
この時期の子どもの成長はあっという間に過ぎ去ってしまいます。
愛する子どもの成長を後から後悔しないように、せっかくなら親子で楽しみながら過ごしてみてはいかがでしょうか。